OLD NEW
この建物は、既存住宅の一部を母の家として残し、
新たに子世帯の家を増築した2世帯住宅です。元々
の建物は 60 年ほど前(施主の母が子どもの頃)
に名古屋市北区から東浦に移築した建物で、その
後増改築を繰り返してきた建物です。母の話によ
ると、移築した時点で築 30 年以上は経っていた
そうで、移築部分は築 90 年以上の建物というこ
とでした。今回の計画では、全て解体し建替えと
いう話も出ていたのですが、家族の歴史と思い入
れのある部分(築 90 年以上の部分)と庭を残し、
他の部分を解体し、その部分に新たな建物を増築
し新旧の建物を融合させることにしました。石場
建てで床下から冷たい空気が流れ込んでくる母の
家には、耐震補強と断熱補強を行い安心して住む
ことが出来る空間とし、トタンだった古い外壁は
伝統の焼杉に変更し、既存の良さを残しつつ装い
を新たにしました。増築部分の外壁は、既存部分
の焼杉と調和するように木の外壁としています。
既存の庭はアプローチとして使われていましたが、
新しく生まれ変わった住宅では、見る庭として記
憶の継承を行いました。新旧の建物の間にアプロー
チを新たに設けることで、新旧の庭を見渡せるよ
うにし、両世帯の接点となる様に考えました。新
旧の庭を眺めながらアプローチを進むと奥には居
心地の良いバーベキューガーデンが現れ、母と子
世帯の団欒の場となります。また、開口部大きい
子世帯の住宅からは、アプローチを介して母の庭
と母の気配を感じることが出来きるようにしてい
ます。築後約100年経ち耐震改修と新たな生活
空間を加えたこの家が、次の100年に引き継が
れていくことを期待しています。
2017-02-14